私にとって言葉を紡ぐことは
水面から顔を出して息をすること
生きているだけで色んなものを感じている
空から差し込む光、それを反射して煌めく鱗、シンと冷たさを増す水圧、何かの骨が軋み砕ける音、刺さる血の匂い、遠ざかっていく砂埃
そういう五感で捉えた全てを、時折水面から顔を出して整えてやらないといけない
記憶なんてとても曖昧で、綺麗なものも、今のこの感情も、薄れて欲しくないものはみんな忘れてしまうから。
また明日あの音を思い出せるように。
また明日この色を見られるように。
いつまでも私が私でいられるように、私は言葉を紡がずにはいられない。