私の実母は有り体に言って毒親なので、私は彼女を信用していない。
その点、叔母は 実母よりずっと母親みたいだし、幼少からお世話になっているピアノの先生も 実母よりずっと母親みたいだと思っている。
彼女たちは、もし私が本当に助けを求めれば、見返りもなしに手を差し伸べてくれる。駆け付けてくれる。
そうして私の言葉を信じてくれる。
今も昔も、きっとそうだった。
そう思い込むことだけが私の肯定感の基盤であって、心の底では何も信用していないから
いざ救いを求めた時見捨てられるのが怖いから
そうしたら私はずっと真に孤独だったということに気付いてしまうから
何も知られたくない。何も知らなくていい。
だから何も話さない。
「何かあったらいつでも連絡しておいで」という決まり文句に「ありがとう」と笑うだけ。
私が亡き祖母に縋り付いているのは、死人に口なしで、思い出の中にしか存在しない人間は絶対に私を裏切ったりしないから。
私の記憶の中で都合よく、私を愛してくれるから、私を信じていてくれるから。
墓石や遺影に語りかけたとて 何も返ってはこないけど、それは私を否定することもなくて、その無機質な冷たい不変に依存している。
失ってからでしか愛を信じられないだなんて、こんな虚しいことがあるかよ。
私の愛は、悪魔の証明。