コトダマリ

抜け殻の感性。

呪いをかけた

消しゴムのスリーブの内側にすきなひとの名前を彫って

郵便局の真っ赤な車を見かけたらお願いごとをして

なんでもない ただ気のせい 

 

カラフルな糸を足首に巻き付けて

雑誌の端っこの占いをチェックして

そんなことで明日がハッピーになるわけはなくて

あんなことで昨日をやり直せるわけでもなくて

なんでもない ただ気まぐれ 

 

子供の頃に信じていた 魔法みたいなキラキラした偶然

願ったとおり そうだったらよかったな

 

意味の無いことと知っていながら 根拠の無い儀式にまだ救いを求めている

 

好きな人たちには呪いをかけたいと思う

 

指を指でなぞる  声にならない声で唱える

どうか 生きていて と

 

もう誰かに会えなくなって悲しいなんてこと、二度となくっていいように

 

どうか 生きていて。