2021-01-08 凍度 悴む指先が記憶しているもの 皺げた姫林檎の優しさ 白い息で窓に描いたマーク 冷えた鍵盤と小さなヒーターの前を往復して 握った霜柱のパリパリと崩れていく音 レンズ越しの玉暈け 私にとって冬はそういうものだった 今思い出すのは暗い廊下ばかり 私の冬を上書きして、このきめ細かな空気をまた愛おしいと思える日が来ますように