コトダマリ

抜け殻の感性。

凍度

悴む指先が記憶しているもの

 

皺げた姫林檎の優しさ

白い息で窓に描いたマーク

冷えた鍵盤と小さなヒーターの前を往復して

握った霜柱のパリパリと崩れていく音

レンズ越しの玉暈け

 

私にとって冬はそういうものだった

 

今思い出すのは暗い廊下ばかり

 

私の冬を上書きして、このきめ細かな空気をまた愛おしいと思える日が来ますように