夢は脳みその見せる幻覚みたいなものだと言われるけど
本当は寝ている間に私たちは、夢の世界、"あちら側"に意識を送り込んでいるのかもね。
そうして向こうの世界で見た事は記憶媒体からすっかり綺麗に消されて戻ってくるとしたら。
うっかり消え残ったキャッシュみたいな物が脳みそをバグらせて
目覚めた時に残るのは曖昧で統制の取れない存在しない記憶。
化学物質に引き起こされた眠気と共に、フェルト生地のような毛羽立った触感を、スマホの画面にうつる文字に感じている。
その毛羽立ったものを捻り取って並べて何かの記念にするらしい。
螺子にとめられていた理念理論、常識と書かれた付箋を上から貼っちゃってさ。
過去の苦しみに飛び込んで、そこで私のことを嘲笑っていた人達を見て
今の私を見ても笑えんのかよ、と思っている。
嫌いだった自分は払拭してきたつもり。
嫌われていた自分も人並み以上に塗り替えてきたつもり。
過去の悪人達が聞く耳を持たなくても、私は冷たい消火器に手をかけて下駄箱の上に昇ってただそれを眺めているだけ。
だって今の私は絶対的孤独からは救われているから。
はやく理解するだけの鋭さを持ち合わせた人とこのくだらない叢りの話をして、くだらないねと笑いたい。
白い砂浜に拾ってきた枝を並べたような文字
目を瞑れば、また波がやって来て私の言葉を連れて行く。
きっとどこかであの日の自分を救い出すフェーズが必要。
1番つらいことの記憶って蓋をしているうちに中で腐って原型も留めていないくらいドロドロになって
自分でも何が辛かったのかわからなくなって
それでも尚そこに痛みを抱えている。
だから
1番思い出したくない日の話をしたい。
1番思い出したくない日の話を聞きたい。
それで、そうだったんだねって、それだけ。
次の波が来たら、全部流れて
また次の波が来て、また流れていく。
それだけ。