手のひらに握りしめた丸い粒にここまで拵えてきた私を壊された。
人間の意志など所詮科学の力には逆らえない、あまりにも脆弱なものですね。
あまり多くを覚えてはいないのだけれど、ただただ悲しくて泣いていたような気がする。
全部夢なら良かった。色んなことがもう少しだけ簡単なら良かった。世界があとほんのちょっぴり優しかったら良かった。
無い物ねだりばかり。
色彩と理由を失って、私が私をこれでいいと思えなくなってしまう前に、残りの砂が落ちてしまう前に、それをなんてことないと言って貰えて良かった。
そういう人に出逢えて良かった。
思うに、今この瞬間も時間は放物線を描いて向こう側へ落ち続けていて、誰しもその軌道から逃れることも出来なくて、だから全部仕方なかったよ。
そうに違いない、そう思わなきゃまた積み上げてきたものが元に戻ってしまうような気がする。