電源を引っこ抜いたら間違いなくデータ破損するけど
通常の終了プロセスの途中でエラーを繰り返して終われないパターンってどうしたらええんじゃろな。
仮にそうするしかないとして
今まで積み上げて来たものを崩してまで手に入れたいものなんかあったかな。
ただもう何も続けたくないのだ。
古いフィルムを巻き戻して最初から見直すような。
ネットで酷評されていた小説を手に取るような。
言うほど、そんなに悪くなかったかな。とか
後少しタイミングが違えば、気付かずにいられたかな。とか
知らずに見捨てている不幸なんてものは山程あって
ただそれをよく知ってしまったから後ろめたいだけなのだと思う。
握った砂を払い落とした時、どれが自分の触れた砂かなんて分からないのだから。
個は今その時の貌であって
散った命は空気に溶けて またひとつに還っていくのだと
見つけられないだけで多分その痕跡は何処かにあって
忘れた頃に巡るのだと
そう思えたらもう少しマシだったかな。
人間をうまくやっていくには試行回数が足りてないよ。
でも
いくつもの可能性も
間違えてきた解答も
あの時選ばなかった方の私がその先で笑っているとしたら
なんで私はハズレの方の私なんだろうか。
本を閉じる時の、つまらない後書きの最後の一文ををなぞり続けるあの時間が、今の私を支配しているよ。