終わりというのは始まったその瞬間から決まっていて
緩やかな放物線のような弧を描いてゆっくりと落ちていく
そしていつの間にかすっと消えてしまうようなそういう物だと思っている
そんなふうに綺麗な終わりを迎えることを
いつも願っていた 願っている
例えば
毎日増えていくトーク履歴とか
悲しさに浸りながら歩いた夕方の住宅街とか
勧められたけど大して興味の湧かなかったロックバンドとか
そういう簡単なものを1ページに書き込んで
それだけで満たされるようなお手軽な幸福感
私にはいつも、そんな幸せが
消えてなくなってしまうその瞬間が見えている
目を瞑って、見えないふりをしているだけで
本当は自分が何者にもなれなかったことに気が付いている
子供の頃欲しかった玩具は、今見ればつまらない仕掛けのくだらないガラクタで
それでもなぜか惹かれてしまう
私は、まだ大人になりきれない
書類と肉体で歳だけをかさねて
薄っぺらい人生経験を語って
それでさも自分は濃密な時間を過ごしてきたかのような顔をして
年老いて、ゆっくりと日が落ちていくのを眺めている
そして すっと 消える